極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
普段聞かない、ドアをノックする音が響いた。
それの音が玄関から来るものだとすぐにわかり、椿生はハッとする。
ここまでやってこれるのは、鍵を持っている彼女だけなのだ。
来てくれたのか。
けれど、会ってしまえば、気持ちが揺らいでしまう。
彼女に許してもらいたいと願ってしまう。
それでいいのか?
迷いを感じながらも、彼女が目の前に居ると知ってしまったら我慢など出来なかった。
椿生はゆっくりと玄関のドアに近づき、解錠しドアを開けたのだった。
☆☆☆
玄関のドアをノックしたのは、畔自身でも何故かわからなかった。けど、何故か彼に届くのではないかと思ったのだ。
すると、しばらくするとゆっくりとドアが開いたのだ。
自分の気持ちが彼に届いたのだと感じ、畔は嬉しくなり顔を上げた。
顔を出した椿生は困惑し、少し疲れた表情をしており、畔を直視出来ないのか、視線が微かに逸れていた。
彼はまだ迷っているんだ。
畔はそれを感じとり、ギュッと強く鍵を握りしめた。
『椿生…………ただいま』