極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
エピローグ
 

   エピローグ


 今日は引っ越しの日。
 畔の部屋に椿生が越してくることになったのだ。
 いろいろ話し合ったが、一緒に暮らしたい気持ちは強く、同棲はすぐに決まった。
 後は畔の仕事柄、機材が多いので引っ越しが大変な事と、防音設備がこちらの方が良い事から畔の部屋に椿生が移り住む事になったのだ。
 

 空き部屋には彼の荷物が運び終わり、2人で整理を始めたが、彼の荷物はとても少なかった。大きなものと言えば、ピアノぐらいだった。

 リビングに荷物を取りに行った椿生が慌てた様子で畔に近づいてきた。

 『あ、hotoRiがニュースになってるよ』
 『え?何の話だろう?』

 畔は彼に呼ばれ、パタパタとリビングのテレビの前へと移動した。
 字幕つきのニュースでは、hotoRiが出した新曲についての話だった。
 久しぶりに出した新曲は、かなりの好評で、今までの1番のヒット曲になった。「青の音色、を超えた名曲!」と言われることもあり、ツアーも今までより多い場所でチケットも売り切れ続出だった。

 『さすがは、hotoRi!』
 『海という作曲家は誰か?って、注目されてるんですからね』
 『お陰さまで、忙しい毎日だよ。ありがたい事だけどね』

 椿生はそう言うが、とても嬉しそうに笑っていた。
 ヒットを記録した新曲のカップリング曲が名曲だとファンの間で話題になり、その作曲者が「青の音色」と同じ名前だとわかり、注目されたのだ。
 海として作曲活動をしている椿生だが、話しを聞くと有名なアーティストやゲーム楽曲などを提供しており、知る人ぞ知る作曲家だったそうだ。根本や社長は、すぐに気づいていたようで、知らなかったのはhotoRiだけだった。

 『椿生のピアノで、また外で歌いたいです』
 『君は………全く懲りてないな』

 昔の事を思い出して、2人は笑い合う。
 秘密で始めた路上ライブ。そこで助けてくれたのが椿生。そこで、2人は再会して連絡をとるようになったのだ。とても思い出深い。

 『あ、2人で変装してやるのはどうですか?マスクとか仮面舞踏会みたいな怪しいマスクつけて』
 『そんなピアニストいた気がするんだけど…………。でも、楽しそうだ』

 椿生も乗り気になってくれたので、いつか実現させなければ、と畔はほくそ笑む。
 と、そんな畔を見つめていた椿生はニッコリと笑った。
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