極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 『この間も、そして今日も助けていただいて、ありがとうございました。本当に助かりました』
 『さっきも話したけど気にしないで。近くを歩いていたら、公園からたまたま君の歌声が聞こえてきたから、また聞けて嬉しかったよ。………その、君は本当にあの有名なhotoRiだったんだね』
 『はい。ミュージシャンをやっているhotoRiです。本名は守青畔。すあ ほとりと言います』
 『そうか。本名も畔っていうんだね。ごめんね……俺、あんまり詳しくなくて君の事有名な人だって最近知ったから。でも、公園での騒ぎを見て、すごい人気なんだなってわかったよ。でも、どうしてあの公園で歌を歌ってたの?』

 彼の疑問は最もだった。
 ある程度の知名度があるのは、畔自身もわかっていた。そんな人が公園で歌っていたら誰でも驚いてしまうだろう。
 けれど、世間をあまりしらない自分はただ歌を歌いたかっただけ、だった。が、普通はそんな事はしないのだと、今回の事で実感した。

 『新しい曲が出来たんです。それが自分ではとても完成度が高くて。早く外で歌ってみたくてうずうずして。………我慢出来なくて、外で歌ってしまったんです』

 そうスマホに打ち込んでいるうちに、畔は恥ずかしくなってきた。
 スマホの画面をジッと見つめたまま固まってしまった畔を彼は不思議そうに見つめていた。
 黒の細身のスーツを着込み、大人の男性の雰囲気が似合いすぎる彼と、自分の気持ちに我慢出来ずに無鉄砲な行動をしてしまった自分。あまりにも子どもすぎるな、と畔は情けなさから、メッセージを全て消せたくなった。
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