極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
6話「初恋」
6話「初恋」
スマホのメッセージをうって話す会話は、言葉を交わす会話より時間がかかってしまう。けれど、そんな事が億劫にならないほどに彼との話は楽しかった。
それに、気になってしかたがなかった彼が目の前にいるのだ。時間が経つのも忘れて、彼と視線を合わせて話し込んだ。
『結構、夜遅くなってしまったね。そろそろ帰ろうか。夜遅いと君があぶないだろうし』
『わかりました』
素直にそう返事をしたけれど、内心では「まだ帰りたくない。話したい」と叫んでいた。けれど、ほぼ初対面の彼にそんな我が儘など言えるはずもなかった。
やはり一夜だけの夢の時間だったのだ。
「連絡先教えてください」や「また会いたいです」と、男慣れしていない畔から誘えるはずもない。
自分の情けなさと切なさから、ため息と共に涙も出そうになってしまう。
と、彼がまたスマホにメッセージをうったようで、畔に画面を差し出した。
「帰ろうか」「楽しかった」という別れの言葉だろう。見るのが怖かったが、畔はそちらに視線を向けた。