極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
『さっき転んだけれど、ケガはしてないかな?』
『はい!椿生さんが助けてくれたので、大丈夫です』
『それはよかった。また足が痛んだら言ってね。よく効く薬あげるから』
『………椿生さんは薬とか湿布、持ち歩いてるんですか?』
畔はそんな疑問を思わず書いてしまった。
純粋な問いに、椿生はきょとんとした表情の後に、はっはっはっと楽しそうに笑った。きっと大きな声で笑っているのだろう。椿生は口元を手で覆って笑っていた。
『ごめん……畔ちゃんが可愛いこと言うから、笑ってしまったよ』
『私、何かおかしな事言ってしまいましたか?』
『大丈夫だよ。でも、薬は毎日持ち歩いているわけではないんだ。今日も何も持っていないよ。実は………俺は製薬会社で働いていて、それで初めて会った時も持っていたんだよ』
『そうだったんですね』
彼の話の内容に納得がいって、頷くと椿生は困ったように微笑んだ。
「君は……知らないんだね」
ホッとした、でも少し切ない顔で、椿生が何か言葉をもらした。けれど、小さな口の動きだったため、畔には椿生が何と言ったのかはわからなかった。