極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
10話「叶わない恋」
10話「叶わない恋」
余韻に浸りながら、タクシーを降りて自宅マンションに入る。
すると、エントランスのソファに不機嫌そうな顔をした叶汰が座っていた。畔を見ると、イライラした様子でこちらへドスドスした足取りでやってきた。何故こんなに怒っているの畔にはわからなかった。
まぁ、彼は大体不機嫌そうにしている事が多いのだが…。
『こんな夜に出掛けてるなんて珍しいじゃないか。男と一緒だったのか?』
『っ!』
乱暴な手話でそう言い当てた叶汰に驚き、思わず手が止まってしまう。幼馴染みの彼はすぐにその様子で感付き、「………まじかよ」と、大きくため息をついた。
『相手は誰だ?』
『何で叶汰に話さなきゃいけないの?私だってプライベートはあるんだよ』
『おまえな…立場わかってんのかよ』
『安心して。製薬会社に勤めてる立派な人だよ』
『どこで知り合った?まさかネットとか言わないよな』
『ベリーヒルズビレッチの病院で会った人』
質問の応酬に、畔はつい嫌な顔をしてしまう。
叶汰は心配してくれているだけだ。それはわかっている。けれど、どうしてそんなにも怒っているのだろうか。
私はどんな人を好きなってもいいはずなのに。
椿生との甘い時間の余韻に浸るはずが、何故こんなに怒られているのだろう。
畔は叶汰から視線を逸らして、自分の部屋へ戻ろうとした。
『おいっ!待てよっ!まだ、話しは終わってないぞ』
『神水椿生さんっていう方よ。調べたいなら調べて』