極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
「急に触ってしまってごめん。でも、心配だから我慢してもらえると嬉しい。仕事で使うものがあったから、ちょっと待ってて」
畔はゆっくりと頷くと、男は安心した表情を見せた後、鞄から湿布と包帯を取り出した。どうしてそんなものが入っているのだろう?と思ったけれど、男はテキパキと処置した。そんな彼の男らしいゴツゴツした指先を見つめているうちに、あっという間に綺麗に包帯まで巻かれて、処置が完了していた。
「どうかな?しみたり痛んだりはしないかな?」
『大丈夫です』
畔は音のでない口の動きでそう言いながら、左手の甲から右手を垂直に上げて頭を小さく下げた。
すると、男はハッとした表情を見せた。そう、畔が手で話をすると、みんなこんな表情をするのだ。そして、困惑した表情になり、逃げるように去っていく。
きっと、彼もそうなのだろう。畔は咄嗟に視線を背けようとした。が、目の前の彼は何故かニッコリと笑った。
『怪我をさせて、ごめん』
と、言葉を出しながらそうゆっくりと手話をした。
彼も畔と同じように手や口の動きを使って話を始めたことに、今度は畔が驚く番だった。