極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
トントンッ。
畔の肩を椿生が優しく触れた。
畔が恐る恐る顔を上げて、彼の方を見ると、そこにはいつもの彼の笑顔があった。
見ると安心できる優しく柔らかい笑顔。
そんな彼を見て畔は、そこには悪いことなど書かれていないのではないか。そう思えて、ゆっくりとノートに目を向けた。
『俺の方から伝えなくてごめん。立場上なかなか言いづらくてね。でも、俺の仕事がどんなものでも、君との関係を終わりにしたいとも思わない。終わりたいのなら、元からデートになんて誘っていないからね』
畔がそこまで読んで、椿生を見ると彼はゆっくりと頷いた後、またノートに言葉を書き続けた。畔はもう目を逸らす事なく、彼の文字を追って見る。
『畔ちゃんの歌を始めてきいた時から、いや……もしかしたら、ぶつかってしまった時から、君の事が気になっていたのだと思う。そして、「もっと会いたい」って思うようになったんだ』
そこまで書くと、椿生は1度顔を上げて畔の顔を見た。
きっと嬉しさのあまり、どんな顔をしていいのかわからずに固まってしまっていただろう。けれど。椿生は1度小さく頷くとまたノートに視線を戻した。