極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
12話「何でもお見通し」


   12話「何でもお見通し」

 畔の目の前には、ショートカットと赤のフレーム眼鏡が似合う美人がいた。だが、その顔は険しく、久しぶりに会う畔を先ほどから問い詰めていた。

 『SNS上で、HotoRiらしき女性が公園で路上ライブをしていたって噂になっているわ。動画とか写真を公開している人がいないのは良かったけど………歌声がhotoRiそっくりだったらしいけど』
 『それは……』
 『しかも、その新曲がすごくよくて泣く人もいたとか』
 『そうなんです!感動して泣いてくれる人がいてくれて、本当に嬉しくて!』
 『路上で歌ったのね?』
 『はい。すみません』

 ついその時の事を思い出して話にのってしまい、根本の怒ったがミーティングルームに響いた。畔には聞こえはしないが、表情でそれがわかる。畔はシュンとして素直に謝った。

 目の前にいるボーイッシュな女性は、マネージャーの根本だった。デビュー当時からhotoRiの面倒を見てくれている、信頼できる人だ。
 路上ライブがネットでは噂になってしまっていたようだった。そんな事になっているとは知らず、畔は活動再開に向けての話し合いで根本に呼び出されたと思っていたが、出迎えた彼女の鋭い視線をを受けた瞬間に「まずい……」と、察知したのだった。
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