極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 『僕が君に音を教えるよ。どんなイメージでその曲を作ったのか、教える。景色や人、気持ちなのか。色や温かさ、どんなイメージなのか。畔ちゃんが想像できるまで伝えるよ』
 
 畔の手を包んでいた彼の手の力が強くなり、ギュッと握られる。
 そして、畔の目尻に彼の指が触れると畔の瞳から涙が一粒こぼれた。
 それを彼は優しく指で拭ってくれる。
 どうしてだろう。彼の前では泣きやすくなってしまっている。

 『泣いていいよ。そして、音が聞きたくなった俺に言って。俺が、音になるよ』

 畔が泣き止んだ頃、椿生がそんな言葉をノートに残した。
 畔にとってこのノートが宝物になる理由がまた1つ増えた。
< 56 / 150 >

この作品をシェア

pagetop