極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
15話「対峙」
15話「対峙」
叶汰はズカズカと畔の方に向かってきた。畔は車を降りて、そんな彼の方へと向かう。心配したのか、運転席から椿生も降りてきた。
『おまえ何やってんだよ!あーゆー事やめておけって言ったよな?』
『叶汰、来てくれてありがとう。でも、あーゆー事って何?何があったか教えて?』
激怒している叶汰を落ち着かせようと、畔はゆっくりと手話で話を掛ける。なるべく、表情もいつものままでいようとした。けれど、畔の答えに彼はまた苛立ちを覚えたようだった。
「知らないって………マネのやつ俺に仕事を押し付けたな。俺はこいつのスタッフでもないのに………」
畔にはわからないように手話は使わずに何かを呟いている。口の動きで少しわかったが。きっと畔にとって良くない事だろう。
『叶汰………』
『hotoRiの新曲の発売告知がされた後すぐに、おまえがストリートライブをやった画像が流れたんだ。その時に歌ったものが新曲がほぼ同じ曲だったからhotoRiだとわかり、拡散したんだろうな』
『………そんな………今さら公開って』
『それでその時におまえを庇った男は誰だって注目されてるんだよ。かなりのイケメンで長身だったから、どこかのモデルだろうってな』
叶汰はそう言って、畔の後ろに立つ椿生をジロリと睨んだ。叶汰は確信しているのだろう。その時の男が椿生だと。