極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 「言ってくれるな………。おまえがあの御曹司なんだろ?そんな奴が、畔を守れるのかよ」
 「守るさ。俺がどんな人間でも」
 「………1つだけ忠告だ。こいつは、嘘は死ぬほど嫌いなんだよ。まぁ、御曹司様そんな事をしないとは思うけどな。後は上手く逃げてくれ。そろそろここも危ないだろうからな」
 「………」

 椿生を睨み付けるように鋭い眼で見つめた叶汰は、持っていたヘルメットを被ろうとした。畔はそれを見て、叶汰が帰ってしまうのだとわかり、彼に駆け寄った。自分から彼に近づこうとしたので、椿生の手は放された。

 『叶汰、来てくれてありがとう。仕事だったのに、ごめんね』
 『…………これに懲りたら歌の仕事なんて辞めてしまえばいいんだ』

 一見冷たい言葉に聞こえてしまう。
 けれど、幼馴染みの畔にはわかる。叶汰が自分を心配してくれているからこその発言なのだと。でなければ、こんな所までバイクをとばして来てくれるはずないのだ。

 『今度、ご飯奢らせて?』
 『おまえな……俺を何だと思ってるんだよ』
 『食べないの?』
 『………高級焼き肉だからな!覚悟しとけよっ!』

 悔しそうにそうに乱暴な手話でそう言うと、椿生はヘルメットを被って、バイクに跨がったと思うと、颯爽とその場を去ってしまった。
 畔は苦笑しながら、強がりな幼馴染みを見送った。
 言葉を悪いが、彼は悪い人ではないのは、畔がよく知っていた。
 畔は彼の背中を見つめながら、心の中で「ありがとう」と伝えた。
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