極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました
『畔ちゃん。お風呂先にどうぞ』
夕食が終わり、2人は手話の勉強をしていた。勉強が一段落ついた頃、椿生は脱衣所の方を指差しながら、そう言った。
『タオルとかは脱衣所に準備してあるからね。シャンプーとかは適当に使っていいよ』
『あ、ありがとうございます』
当然の事のようにそういう椿生だったが、畔はまだ信じられない思いだった。
彼は平然としているのに、自分だけがドキドキしているのは何故なのか。畔は彼の視線から逃げるように自分の荷物から着替えなどを持って脱衣所に行こうとした。
が、そこで手が止まる。
(うそ………部屋着忘れた?)
畔は何度もバックの中身を確認するが、部屋着は見当たらなかった。
自宅で荷物を詰めていたときの事を思い出してみると、恋人の所に行くのだから、まだ使用していないお気に入りの部屋着を着ようと思っていた。が、結局新品の部屋着は忘れてしまったようだ。他の服も、部屋着には合わないものばかりだった。
今はもう夜中。自宅に戻ってもきっと報道陣はいないはずだ。そう思って、畔は椿生の元へと戻った。
『椿生さん。すみません………1度家に帰ってもいいですか?』
『え………』