極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました

 畔の手話の意味を理解した瞬間、彼は見たこともないぐらいに悲しげな表情に変わった。彼が勘違いをしているのだと気づいて慌てて訂正をした。

 『違うんです。部屋着を忘れてしまって。普通の服は持ってきたんですけど、スカートやワンピースで…』
 「そういう事か」

 椿生はそれを聞いて、ホッとした様子を見せ、手話をするのも忘れてそう一人言をこぼした。

 『それなら俺の服を貸すよ』
 『い、いいんですか?』
 『準備しておく。お風呂入っている間に脱衣所に置いとくよ』

 そう言って畔を脱衣所まで案内し、彼は洋服を取りに自室へと向かった。
 畔は申し訳なく思いながら、広い湯船につかり、これからの事を考える。
 お風呂から上がったら、一緒に寝るのだろうか。
 こんな時にどんな風にすればいいかもわからない。
 (落ち着いて……普段通りにすればいいだけ)
 畔は大きく深呼吸をしながら、お風呂に入りこの先の事はあまり考えないようにしたのだった。
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