極上社長からの甘い溺愛は中毒性がありました


 椿生は「おいしい」畔が作った料理をあっという間に食べてくれたので、畔はホッと安心をした。

 『それで、報道の事はどうだった?社長とは話が出来た?』
 『社長は怒ってはいなくて、報道がいきすぎていたのではないかと…』
 『そうか。優しい社長なんだね』

 椿生が食後のコーヒーを淹れてくれ、リビングのソファに座りながら、今日の事を話した。彼も随分心配してくれていたようだが、食事の時間は我慢してくれていたようだった。ゆったりとした時間で、畔たちは手話ではなくノートで会話をした。


 『じゃあ、無事に解決かな』
 『ファンを心配させてままはダメなので、本当の事を動画で伝えました。明日公開すると思います。そこで、新曲を早く歌ってみたくて一人で路上ライブをしてしまった事。そして、助けてくれた人は…その…、私の大切な人だ、と伝えてきました』

 その文字を書くまで大分時間がかかったが、彼には事前に伝えておきたくて、伝えた。そのために、公開する日も明日の朝にして貰ったのだ。
 畔の言葉を見て、椿生は優しく微笑み、畔の頭を撫でてくれた。

 『俺を紹介してくれたんたわ』
 『もちろん身分は隠します!一般の方とお伝えするので、椿生さんにはご迷惑をかけないようにしますので』
 『…ありがとう』

 2回目のありがとうの時、椿生の表情が変わった。先ほどまでの笑みから、困った顔で何か悲しげに見えた。
 時々見せる彼の表情。畔はそれが気になって仕方がなかったが、聞けるはずもなかった。
 自分がそうさせているのではないか。そんな風に思ってしまうのだ。
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