仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
颯真さんがキッチンに立って、オーブントースターに食パンを入れてタイマーをセット。

お腹の虫が鳴ったように思えたけど、何だか感覚が違った。

「あ・・・颯真さん…ちょっと」

「どうした?」

颯真さんはカウンター越しに私を見る。


「赤ちゃんが動きました…」

「えっ?マジで??」

颯真さんは私用の飲み物にとグラスに野菜ジュースを注ぎ、持って来た。

そして、椅子に座る私の足許に跪いて、お腹を触った。


「お腹の虫が鳴ったのかと思いましたが…これは胎動だと思います」


「俺には全く分からないけど…亜優がそう言うんだ。胎動だよな・・・」

二人で私のお腹を触っていると焦げ臭い匂いがキッチンから漂う。

「焦げ臭いんですけど…」

「あっ!?もしかして…俺…トーストのタイマー間違えたかな?」

颯真さんは慌ててキッチンに舞い戻り、オーブントースター焦げた食パンを取り出した。

「慣れないコトすると…失敗するな…」

颯真さんは苦笑いを浮かべて、もう一枚食パンを袋から取り出した。

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