仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
「颯真君!!」

「お義父さん、お帰りなさい」

父も早めに帰宅した。

「母さん、我が家の秘蔵の酒を出してくれ」
「秘蔵の酒って何ですか?お義父さん」

「まぁ、楽しみに待っててくれ」


父は颯真さんとコトをとっても気に入り、度々こうして二人で酒を飲んでいた。
颯真さんを通して、父との関係も良好。

彼は本当に私の為に尽くしてくれた。
満点の旦那様。
こうして尽くしてくれる彼の為。
この子だけは私がしっかりと産まないと・・・
「颯真さん、私は御手洗いに行って来ますね・・・」
臨月ともなれば、赤ちゃん自身が産まれる準備を始め、産道に向かって下降して来る。そのせいもあり、私の膀胱を圧迫し、トイレが近くなっていた。

「あぁ」

私は二人を残して、ダイニングルームを出て御手洗いに行く。

「あら、亜優、何処に行くの?」

「お手洗いに」


「そう」

廊下で母とすれ違った。

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