仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
******
幹部の定例会議で副社長室を小一時間程、空けた。
「来人、戻ったぞ。連絡事項は?」
「『協和エレクトロニクス』に電話を掛けた所、早退したそうです。
これが彼女の携帯番号です。副社長」
「俺の一番知りたかった彼女の連絡先…来人にしては行動が早いな…」
「善は急げです…」
俺は早速彼女の携帯に電話を掛けた。
「もしもし・・・工藤ですけど…どちら様ですか?」
――――え、あ…工藤さん?周防です…
「す、周防さん!!?どうして?私の携帯番号を…」
――――会社、早退したそうですね…具合悪いんですか?
「いえ…べ、別に…」
――――今は自宅ですか?
「十七時二十五分着…のぞみ…」
彼女の声以外に新幹線の発着を告げるアナウンスが聞こえて来た。
「ち、ちょっと待って…工藤さん…何処に行くの!!?その新幹線には乗らないでくれ!!いいね!!俺が来るまで…そこに居るんだ!!」
俺は通話を切り、慌ててポールに吊るしたトレンチコートを手に取った。
「副社長?」
「俺の工藤さんが東京脱出を図りそうだ…今から東京駅に向かう…留守を頼む!!来人」
幹部の定例会議で副社長室を小一時間程、空けた。
「来人、戻ったぞ。連絡事項は?」
「『協和エレクトロニクス』に電話を掛けた所、早退したそうです。
これが彼女の携帯番号です。副社長」
「俺の一番知りたかった彼女の連絡先…来人にしては行動が早いな…」
「善は急げです…」
俺は早速彼女の携帯に電話を掛けた。
「もしもし・・・工藤ですけど…どちら様ですか?」
――――え、あ…工藤さん?周防です…
「す、周防さん!!?どうして?私の携帯番号を…」
――――会社、早退したそうですね…具合悪いんですか?
「いえ…べ、別に…」
――――今は自宅ですか?
「十七時二十五分着…のぞみ…」
彼女の声以外に新幹線の発着を告げるアナウンスが聞こえて来た。
「ち、ちょっと待って…工藤さん…何処に行くの!!?その新幹線には乗らないでくれ!!いいね!!俺が来るまで…そこに居るんだ!!」
俺は通話を切り、慌ててポールに吊るしたトレンチコートを手に取った。
「副社長?」
「俺の工藤さんが東京脱出を図りそうだ…今から東京駅に向かう…留守を頼む!!来人」