仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
筋書きのないドラマ
「俺が行くまで待ってろ」と言い放ち、周防さんからの電話は切れた。
私はベンチに腰を下ろしたまま、扉の開いた新幹線から降車して来る人々の姿を見つめる。

降車の後は新たに人々が乗車していく。

私は周防さんの言葉を信じてそのまま待ち続けた…


私の貞操は彼に奪われてしまったけど。
私のカラダに触れる彼の手は優しかった。

私が乗り込むはずだった新幹線は出発。
次の新幹線が入って来た。


こうしてあっさりと信じてしまい、私は父の秘書の梶原さんに騙されてしまった。
何度か新幹線を見送り、ようやく周防さんが私の元に走り込んで来た。

「良かった…」

彼は息を切らせながら呟き、アーモンド形の瞳に安堵の色を浮かべた。

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