仮面夫婦マリアージュ～愛のない一夜でしたが妊娠しました～

「俺は初耳だぞ…いつから・・・付き合っていたんだ？」

「かれこれ・・・俺が『協和エレクトロニクス』出入りしてからだから…まだ二ヵ月ぐらいの話だ」

「で、結婚すんのか？デキたのか？？」

「そうじゃない…彼女に見合い話が来て…結婚を急ぐ羽目になったんだ」

車中、俺は佐久也さんの執拗な質問攻めを受けた。

「ふうん・・・で、実際の彼女はどんな女性なんだ？」

挙式当日、他のオトコと駆け落ちしたそんな大それたコトをしてしまった彼女の印象は実際の彼女とはかけ離れていた。

「ウブな雰囲気だ。全く男慣れしていない…彼女は押しに弱いタイプだ」

「そっか…でも、周防家の次期当主の妻となれば、周囲も大いに注目するな…」

「矢面に立って護る覚悟はできてるさ…」

「颯真は本気なんだな…」

「佐久也さんは本気で当主には就かないつもり？」

「大体、俺は周防家とは血の繋がりの無い人間だ・・・」