仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
一週間後―――・・・

「亜優さん」

「周防さん…」

俺と彼女は『ドラゴンホテル・東京ベイ』のロビーで待ち合わせをした。
ロビーの緋色の厚みのある絨毯を高いヒールの踵で踏みしめ、ゆっくりと彼女が近づいて来た。
俺のプレゼントした総レース素材の白い膝丈のドレス。

光沢のある生地が上品さを醸し出し、白い色がウエディングドレスを連想させた。

「待ちました?」

「全然、待ってないよ…父さん達が待ってる…早く行こう」

「あ、はい」

俺は彼女の白い小さな手をそっと掴んだ。

「周防さん…」

戸惑い気味の彼女の愛らしい表情と声に心臓の鼓動が跳ねる。
悟られてはいけないと余裕のある笑みを湛え、彼女を見つめた。

「俺は父さん達が待ってると言ったぞ。早く急がないと」

俺は彼女の手をそのまま掴んで、エレベーターホールへとリードした。

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