仮面夫婦マリアージュ~愛のない一夜でしたが妊娠しました~
「すぐに修理してくれるってさ…」

周防副社長は私の元に戻って来た。

「どうした?」

彼は私の体調の変化にいち早く気づき、心配そうに顔を覗き込む。

「顔色が悪いぞ。工藤さん」

「カラダが凄く熱くて…」

「アツい?空調をもう少し下げたほうがいいか?」

「そうじゃなくて…」

吐く息も次第に熱くなっていく。

カラダが自分とは違う温もりを求め、私は彼のシャツの袖を掴んでいた。

「工藤さん…?君…もしかして…彼に薬を盛られた?」

「えっ?」

「・・・その薬は媚薬かもしれない…何処までゲスなんだ?全く」

「…どうしたら、いいんですか?」

「カラダの熱を静めるにはこうするしかない」

彼は私の唇に唇を重ねた。
程よい肉厚の彼の唇が私の唇を食み、幾度も角度の違う濃密なキスを落としていく。カラダの中の熱に切ない疼きが入り混じり始める。

今まで、感じたコトのない感覚。

挙式当日に男性と駆け落ちした花嫁だけど。
駆け落ちした男性とは何もなかった。
―――私は処女だった・・・
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