仮面夫婦マリアージュ～愛のない一夜でしたが妊娠しました～

新婚ですが…妊娠しました。

颯真さんが今住んでいる会社近くの『有明パークベイタワー』の部屋が私達の新居となった。
引っ越しを終え、入籍も済ませて、私は周防亜優になった。
周防家の嫁となった以上、離婚するその時まで颯真さんに尽くすコトにした。

「おはよう御座います…颯真さん。朝ですよ」
「ん、あ・・・」

深夜まで仕事をしていた颯真さんは眠たい顔で瞼を開ける。

ベットは同じタイプのシングルサイズのベットを並べ、別々に就寝していた。

颯真さんは大欠伸しながらムクッとカラダを起こす。

「朝食の準備は出来てますよ…」

「そっか…」

会社は同じ『有明パーク』内にあるビルだから、徒歩でも通勤できる距離。

会社が徒歩圏に有り、出勤時間がかからない分、彼は睡眠に時間を費やしていた。

「早く、準備を済ませて…起きてくださいね…」

「亜優…俺達一応新婚だし…新婚らしいコトしない？」


「えっ?たとえば、どんなコトですか？」

「どんなコトって…マジで鈍いな…」

彼は私の手を掴んで、自分の方に引き寄せて、その勢いで抱き締めた。
顔を上げると彼の端正な顔が近くにあった。
さっきまで眠たそうだった瞳に甘い煌めきが宿る。

「朝のキスだ」

私はそう言われて慌てて目を閉じた。

新婚の私達は甘いキスを交わす。