仮面夫婦マリアージュ～愛のない一夜でしたが妊娠しました～

私、工藤亜優(ｸﾄﾞｳｱﾕ）の実家は大正時代、唯の銅加工の町工場に始まり、親子三代に渡り、会社を成長させ、国内東西に大きな製錬所を持ち、世界にも六つの営業所を持つ『協同銅業』近年は、半導体業界にも進出し、「半導体デバイス」の大切な基板材料となるシリコンウェーハを製造販売していた。

十年前、『（株）協同エレクトロニクス』を設立。次男である父が一代目の社長に就任、ＩＴ化の進む中、会社は急成長した。
巨大ＩＴ企業『リバティ』が開発したスマートスピーカーのAI処理用の半導体は自社の開発製品。

会社の株価が上昇する中、父が私に見合い話を持ち込んだ。

経理部所属の私は社長室に呼び出される。
「亜優お前も知ってるだろ？『リバティジャパン』社長・長谷川俊吾(ﾊｾｶﾞﾜｼｭﾝｺﾞ）さんを」

「彼が何か？」

「彼はわしが持ち込んだお前との見合い話を快く承諾してくれた」

私が彼と見合い！？
「ま、待って下さい…お父様」