仮面夫婦マリアージュ～愛のない一夜でしたが妊娠しました～

「杏南…遥先輩と仲良くし過ぎだぞ…俺の立場を考えろ。槇村先生だって…」

「でも・・・」

「でもじゃない・・・二人目も槇村先生のお世話になるんだったら、ある程度の距離感は必要だ・・・」
「・・・遥さんとは昔の話ですよね…どうしてそう拘るんですか?俊吾さん」

「俺が拘っているワケじゃない…槇村先生が…」



二人は俺達が居るのを忘れて、揉め始める。

「あの…長谷川副社長…」


「ん、あ・・・すまない・・・周防副社長と夫人のコトを忘れていた」

やっぱり、忘れている。
二人は口を噤み、それっきり話をしなくなった。

俺達は二人の険悪な雰囲気を気にしながらも、どう仲立ちすればいいのか分からなかった。
二人とはロビーで別れた。