僕らの苦い夏の味

「やっとついた」


目の前には、5畝ほどのさして大きくはない畑。

きゅうりにトマトに茄子にスイカ。

今年はとうもろこしも植わっている。

無数のひげを風になびかせている様が、なんと堂々としていることか。


「ばーちゃーん! 来たよーー!」

「おーー、はるかぁぁ。幸汰は大丈夫かー」


その言葉に、つないでいた幸汰の手に力が入った。


「……泣きべそかいてるとこ見せたくないってーー!」

「ちょ、お前なぁ!」

「はは、そうかぁ。幸汰、どれでも好きなトマト持っていけ。今年のは出来がいいから、きっと幸汰の気に入るのがあるよ」

「だってさ、幸汰。よかったね」
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