青い夏で、 私は。
ー私たちのはじまりは青い色だった。
「リコ。行くよ」
シュンが私の顔も見ずに教室を出る。
慌ててカバンをつかみ、見慣れた背中を追いかけた。
ー私とシュンが出会ったのは5歳の暑い夏の日。
もう12年も一緒にいる幼なじみ。
私たちは同い年ということもあって仲がよかった。
シュンが私の手をひいて、毎日のように海に行って。
そこでたわいもない話を、日が落ちるまでしていた。
それは小学生になっても、中学生になっても変わらなかった。
放課後、シュンが私の名前を呼んだらそれは海に向かう合図。
小さい頃はお互いが一番で、当たり前に隣にいた。
でもいつの間にか、私とシュンには深い溝が出来ていた。
それが男女だからできた溝なのか、私たちがお互いに違う感情をもっているからできた溝なのかは分からない。
この溝ができた理由をシュンに聞いても、きっと答えてくれない。
私たちの心の距離はそれくらい離れていた。
こんなにも近くにいるはずのに。
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