【完】恋の治療は保健室で〜秘密の遠距離恋愛〜
「あたし、瑠衣ちゃんと寝たい」

「ダメだ。奏の部屋で寝なさい!」

「でも...」

「わがまま言うと北海道に帰すよ?」

「瑠衣ちゃんの意地悪」

絵美里ちゃんはむすーっと膨れた。

「絵美里ちゃんあたしのパジャマ貸すね。どれがいい?」

「パジャマは自分で持ってる」

だから荷物が多かったんだ。元々泊まりがけで瑠衣君を連れ戻しに来たんだ。

「ねえ、なんで絵美里ちゃんはそんなに瑠衣君を連れ戻したいの?」

「瑠衣ちゃんはあたしの王子様なの。小学校の時、いじめられて学校に行かなかった事があったんだ。その時隣に瑠衣ちゃんが引っ越してきて。どんな子かなって窓の外を覗いていたら、庭でダンスしてる瑠衣ちゃんが見えて。それがあたしには輝いていて見えた。カッコイイ王子様だってあの時思ったんだ。それから少しずつ外に出て瑠衣ちゃんのダンスを見てて、ある日あたしに気づいて瑠衣ちゃんが話しかけてくれてダンスも教えてくれた。瑠衣ちゃんと仲良くなったあたしは瑠衣ちゃんとなら学校に行けるって思った。だから高校も無理をしてでも瑠衣ちゃんと同じ高校受験して一緒に行きたかった。なのに...」

絵美里ちゃんは膝を抱え、また下を向き始めた。
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