トライアングル・ビーチ
はやる気持ちを抑えて、スマホを引き寄せ、個人フリマアプリを開く。購入者として、まずはこの取引を完了させなければならない。

「終始スムーズなお取引ありがとうございました! また機会がありましたらよろしくお願いします」

出品者に負けずにフォーマットのような文言を「受取評価」に添え、ポチリとボタンを押してスマホを床の上に放りだした。
スタンドミラーの前に立ち、水着を体にあてがってみる。
うん、わたしにしてはいろんな意味でめちゃくちゃ思いきった買い物だったけれど、似合わないことは全然ない。
……ないはず。
胸のボリュームとか、脚の長さとか、もうちょっとほしいところだけど。

普段は学級委員を務め、成績もまずくはなく、どちらかといえば優等生のわたしが、このギャップで佐治(さじ)くんを落とす。
もう、こんな古典的な方法しか思いつかなかったのだ。
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