溢れる想いを青に込めて。
そうしないと、リツも私も前に進めない。
分かってる、分かってるけど。
やっぱり、リツを、水泳を離したくないと思ってしまう。
―きっと私は誰かに引き止めてもらいたかったのだと思う。
ただ一言、やめないで、と言葉をかけてほしかった。
そんな私のわがままで、ずっと引きずったまま、全部曖昧になっている。
それでもいい、だなんて思ったりしたけどそれは口には出せない。
だって、こんなにも苦しそうな人が私の目の前にいる。
だから私のわがままで、このまま暗闇に引き止めるわけにはいかなかった。
何より、あの頃と同じリツの泳ぎがもう一度見たかった。
私に勇気をくれたあの泳ぎを。
だから、もう引き止めない。
リツ、もう前に進もう?
私たちだけの世界を終わらそう?
そして、歩まなくちゃ。
違う道を。
私がずっと言えずにいた言葉を、意を決してリツに言う。
「リツ、泳ぎなよ。私のためじゃなくて自分ために。」
リツは数秒固まり、バッと顔を上げてこちらを見る。
その顔はやっぱり苦しそうな顔をしていた。
リツはこの言葉の意味を分かっている。
分かっていて、何も言わない。
何も言えないのかもしれない。
これに答えたら、それは私たちの関係が完全に崩れることになるから。
でも、もう後戻りはしない。
「リツ。今までありがとう」
そう言って、リツと目を合わせる。