溢れる想いを青に込めて。

次の日、憂鬱な気分で学校に行く。

あんなふうに自分から関係を壊しておいて、今リツに会ったら苦しいと思っている私がいる。

私がため息をついて、靴を履き替えていると

「どーしたんだ、七瀬。」

と、声がしたので振り返るとそこには若葉がいた。

「、、別に。考え事だよ」

あっそ、と素っ気ない返事がきて一瞬ムカッとした。

ラナはこいつのどこが好きなんだ、と疑問に思っていると、若葉からとんでもない言葉が聞こえた。

「そーいや、青井のことだけどさ。あいつ、またタイムおちてたぞ。七瀬、なんか言ったんじゃないの」

「、、え?」

リツのタイムがおちてる?

なんで?

リツとはきちんと関係を終わらせたはずなのに。

リツがリツのために泳いで欲しくて、終わらすことを決めたのに。

それなのにどうして?

私のせい?

「まー、とりあえずさ。リツと話し合った方がいいぜ。青井にとっても七瀬の事は大事なんだろうし、それは七瀬も同じだろ?七瀬の思いだけじゃなくて青井の思いも聞いてやったら?」












―リツの思い、、

私、リツのこと考えてなかった。

勝手にリツのためだと思って、自分の意見をリツに押し付けてた。

私との関係はない方が良かったって。

そう思い込んで、勝手に1人で泣いて。

被害者ぶって。

自分の事でいっぱいになって、本当にリツ
の事を思って考えていなかった。

そんなことに今まで気づかなかったなんて。





「若葉、ありがとう。私、話し合ってみる」

「おう。頑張れよ」

と、私に背を向けながら言った。

若葉のやつ、素っ気なく見えたけど、きっと誰よりもリツのこと心配してるんだな。

ラナが好きになったのが何となくわかった気がする。

少し心が軽くなったのを感じながら、スマホを取りだしてリツにメールをする。




―木曜の放課後、
プールサイドで待ってる。 叶波



木曜は部活がオフの日。

リツが来てくれると信じて、歩き出した。

< 13 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop