溢れる想いを青に込めて。
次の日、憂鬱な気分で学校に行く。
あんなふうに自分から関係を壊しておいて、今リツに会ったら苦しいと思っている私がいる。
私がため息をついて、靴を履き替えていると
「どーしたんだ、七瀬。」
と、声がしたので振り返るとそこには若葉がいた。
「、、別に。考え事だよ」
あっそ、と素っ気ない返事がきて一瞬ムカッとした。
ラナはこいつのどこが好きなんだ、と疑問に思っていると、若葉からとんでもない言葉が聞こえた。
「そーいや、青井のことだけどさ。あいつ、またタイムおちてたぞ。七瀬、なんか言ったんじゃないの」
「、、え?」
リツのタイムがおちてる?
なんで?
リツとはきちんと関係を終わらせたはずなのに。
リツがリツのために泳いで欲しくて、終わらすことを決めたのに。
それなのにどうして?
私のせい?
「まー、とりあえずさ。リツと話し合った方がいいぜ。青井にとっても七瀬の事は大事なんだろうし、それは七瀬も同じだろ?七瀬の思いだけじゃなくて青井の思いも聞いてやったら?」
―リツの思い、、
私、リツのこと考えてなかった。
勝手にリツのためだと思って、自分の意見をリツに押し付けてた。
私との関係はない方が良かったって。
そう思い込んで、勝手に1人で泣いて。
被害者ぶって。
自分の事でいっぱいになって、本当にリツ
の事を思って考えていなかった。
そんなことに今まで気づかなかったなんて。
「若葉、ありがとう。私、話し合ってみる」
「おう。頑張れよ」
と、私に背を向けながら言った。
若葉のやつ、素っ気なく見えたけど、きっと誰よりもリツのこと心配してるんだな。
ラナが好きになったのが何となくわかった気がする。
少し心が軽くなったのを感じながら、スマホを取りだしてリツにメールをする。
―木曜の放課後、
プールサイドで待ってる。 叶波
木曜は部活がオフの日。
リツが来てくれると信じて、歩き出した。