溢れる想いを青に込めて。
そして、約束の木曜日。
いまの気持ちを正直に言うと、とても怖い。
リツの本音を聞くのが怖い。
でも、もう私は逃げなたくない。
リツからも、水泳からも絶対に逃げないって決めたんだ。
だから何があっても大丈夫。
あの頃には戻らない。
プールサイドに近づくと、フェンス越しにリツの背中が見えた。
「リツ」
リツはゆっくりとこっちに振り向いた。
私は深呼吸をして思いを吐き出す。
リツを縛り付けていたのは私だから。
もう、隠すことはない。
「ねぇ、リツ。あの頃の私たちはほんとに仲良くて、ずっと一緒で、いいライバルだったよね。でもね、きっと私たちはその関係に慣れすぎてたんだよ。」
リツの顔が少し険しくなる。
声が震えないように必死で心を落ち着かせる。
「私たちは一緒にいすぎた。それこそ、泳ぐためにお互いが必要になるくらい。私、ね。それでもいいと思ってたの。だって、リツの泳ぎが1番好きなのはきっと私でしょ?」
眉を下げて、無理やり口角を上げる。
リツはどう思っているのだろう。
夕日がリツの顔にあたっていてどんな顔をしているか分からなかった。
でも、私は言葉を続けた。
「あの時。タイム測定でリツと1秒も差がついた時。本当に絶望した。あんなにも一緒に泳いできたのになんで差がついちゃうのって。私自分のことに精一杯でね、もう水泳はやりたくないって思ったの。それで、リツのこと放ったらかしにして水泳やめちゃったの。」