溢れる想いを青に込めて。

その様子が子供みたいでなんだかおかしかった。

笑いをこらえながら

「ゆうちゃんは小学生の時の私の恩人みたいな人だよ。ゆうちゃんのおかげでバックをやろうって思えたんだ。それで何度も頼んでバックを教えてもらったの。ゆうちゃん、って呼んでるのは小学生の時からだしなぁ。」

と言うと、リツはさらに不機嫌になって私の肩を掴む。

びっくりしてリツを見ると、

「俺、絶対にあいつに勝つから」

と急に言ってきた。

勝つ、と言うとは紛れもなく水泳でってことだろう。

でもどうしてこんな突然、と思いながら

「リツならできるよ」

とリツの頭を撫でながら言った。

するとだんだん落ち着いてきたのか普段のリツに戻った。

「俺、もう1つ行きたいとこある」

と言って、私の手をとる。

この恋人繋ぎにも大分慣れてしまった。

リツが向かった先はオシャレな雑貨屋さんだった。

こんな所で何買うんだろうと不思議に思っていると、リツが1つの商品を手に取った。

それを見て思わず声を上げた。

「かわいい!」

すると、リツは懐かしそうな目をして

「これ、俺がこの間見つけたんだ。もしカナとまた一緒に泳げたら買おうって決めてた」

と言った。

リツが手にしていたのは海がモチーフになっている雫の中に青いイルカが2匹泳いでいるストラップだった。

そして、もう片方の手でもう1つ取る。

そっちは中のイルカが桃色でとても可愛かった。

「このイルカ俺たち見たいだろ?」

とリツは目を細めて言った。

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