溢れる想いを青に込めて。

イルカが仲良さそうに隣同士で泳いでいる姿はあの頃の私たちのようでとても微笑ましかった。

「じゃ、おそろい!」

そう言ってピンクのイルカの方を手に取り会計に向かう。

「おそろいってなんか嬉しい」

とはにかむとリツは真っ赤になりながら

「俺も」

とだけ言った。

その後、服だったり本だったりを見ながらブラブラしているとあっという間に夕方になってしまった。

「ここまででいいよ。リツ、今日はありがとう」

「おう。また明日な」

と言葉を交わして駅で別れる。

ふうっと息をついて黄昏時の空を見上げた。

リツとこうして遊べるなんて思っていなかった。

私たちはいい方向に進めたのかもしれない。

あの時で止まっていた時間がゆっくりと、でも確かに動き出した。

< 23 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop