溢れる想いを青に込めて。

「忘れ物はないな。じゃ、行くぞ」

部長の声を合図に部員が次々とバスに乗る。

私とリツは後ろの方の席を確保する。


まだ会場についていないというのに、私の心臓はバクバクと音をたてていた。

「大丈夫か?」

不安げな表情に気づいたのか、リツが尋ねてきた。

一瞬弱音をはきそうになるが、ぐっと手を握りしめてこらえる。

―こんな所で弱音をはけるわけなかった。

私だけが苦しい思いをしたわけじゃない。

皆自分自身の壁に向き合って、突破して、ここまできた。

だから、私1人が場の空気を乱すなんてしてはいけないと思った。

「うん」

なんとか一言言うと、リツは一瞬怪訝そうな顔をして私を見る。

リツには嘘はやっぱり通用しない。

私が隠してる気持ちに気づいてる。

それでも、はきだすわけにはいかなかった。

そんな思いを胸にだきながら、しばらくリツと見つめ合っていると、リツは観念したようにため息をついて目を逸らした。

「辛い時は言えよ」

自分の前髪をぐしゃっと掴みながら言った。

その優しさに甘えるようにリツの肩に頭を乗せる。



会場までの距離がとても長く感じた。



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