溢れる想いを青に込めて。

会場付近になりバスのスピードが落ちていく。

それと共に部長の指示が耳を通った。

その指示通りに荷物を持ち、忘れ物がないか確認する。



バスをおりると、会場の周りにはたくさんの人がいて思わず圧倒される。

その人ごみを部長を先頭にかき分けながら進んでいく。

私も遅れないように必死でついて行く。




鳳条、舞徳、朝陽、、、

色んな学校の人が目に入る。

どの人も顔つきは真剣そのもので一瞬足がすくんでしまう。

目をギュッとつむって心を必死に落ち着かせる。

大丈夫、大丈夫、と不安から目をそらすように言い聞かせる。



会場の入口に近づいた時、一瀬高校のジャージの群れを見つけた。

昔よりずっとすらっとした背中を見つけて

「ゆうちゃん、、」

と、独り言くらい小さな声で言う。

すると、声が聞こえたのかゆうちゃんもこちらに気づいて目が合う。

そして口を動かして




が ん ば れ



と言った。



私たち敵なのに、と自然と笑みがこぼれる。

でもゆうちゃんのおかげで心が軽くなった。



―そうだよね。

私は1人で泳ぐ訳ではない。

仲間と、リツと、一緒に泳ぐんだ。

だから、何一つ怖がることなんかない。




心が落ち着いてきて、よしやるぞっ、と自分を励ます。


そして会場へと足を踏み入れた。



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