溢れる想いを青に込めて。

会場には50メートルプールが一面に広がっていて、そのなんともいえない雰囲気に鳥肌が立つ。

「じゃあ更衣室で着替えて。8時からアップな」

部長の声が響き、男女それぞれに移動していく。

莉桜先輩や他の女子の後ろを大人しくついていると、

「緊張するね」

3年マネージャーの浜辺先輩の声が聞こえた。



これだけ大きな会場で泳ぐのは初めてだ。

海晴SCでも年に2回大会があったけどこんなに大きいのはなかったし、そもそも私は大会に参加したことがないのだ。

「はい」

そう一言いうと、

「その割には、目が輝いてるよ」

と浜辺先輩は笑って言った。





―緊張はする。

でもそれ以上に楽しみで仕方ない。

仲間と泳げるのが。




もしかしたらどの選手よりも遅いかもしれない。

もしかしたら精神がズタボロになるかもしれない。






―でも。

私は試したい。

自分の可能性を。

あの頃とは違う私の可能性を。


自分がどこまでいけるのか知りたい。




―そして、3年の先輩のためにも。



泳ぎたい。




「その調子でね」

浜辺先輩が私の背中を軽く押す。



それに勇気づけられるように、私は1歩を踏み出した。

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