溢れる想いを青に込めて。


「カナ。俺はお前のために泳ぐから。」

「だからさ、、」

続きを言いそうなリツの口を人差し指で軽く阻止する。

「分かってるってば。私はリツのために泳ぐ。でしょ?」

そうはにかむとリツも照れたように笑った。

「私たちはひとつだよ。大丈夫、ここにいるから」

リツに言い聞かせるように優しい声で言う。

「7組4レーン 青井 立夏さんいますか」

係員に呼ばれると、リツは

「行ってくる」

と笑顔で私の元を去っていく。







―リツなら大丈夫。

私たちなら大丈夫。






呪文のように心の中で唱える。

召集所がこんなにも緊張する場所だとは思わなかった。

でも自然と笑みがこぼれてくる。




なんでだろう。

リツと言葉を交わしたからかな。



召集所からアップの場所へと移動していくリツを見て思った。

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