溢れる想いを青に込めて。
でも、その反面少しほっとしている自分もいた。

リツとの差がこれ以上開いてしまったら、今度こそ私たちは完全に崩れるだろう。

自分勝手な考えだ、と自分でも理解している。

それでも、リツとこれ以上離れたくなかった。

リツのライバルは私で、私のライバルはリツ。

リツの泳ぎを1番理解しているのは私で、私の泳ぎを1番理解しているのはリツ。

―私はこの関係に依存していたのかもしれなかった。

でも、きっとそれはリツも同じだった。

だからこそ、泳げない、前のように。

リツの泳ぎは私がいてこそで、私の泳ぎはリツがいてこそ。

リツはもう、あの頃のようにはできないのだと思う。

それはリツもきっと理解している。

しているから、私に声をかけようとしていた。

「そうなんだね、ラナありがと」

ラナはちいさく首を横にふり、別にいいんだけどさ、と言葉を続けた。

「これで、いいのかなって思ったりしてる。ラナはカナちんに無理してほしくは無いけど、でも我慢はもっとしてほしくない。」

ラナの大きな瞳は静かにゆれていて、それでも私の瞳を確かに捉えて言った。

「私もね、このままじゃダメなのは分かってるの、、でも、リツとずっとあの関係でいるのはもっとダメな気がして。」

ラナの瞳から逃れるように、下を向いて言った。

ラナの言うことは間違っていない。

私も、このままではダメだって分かってる。

でも、どうしたらいいか分からない。



―私たちの時間は、あのときでとまっているのだから。
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