溢れる想いを青に込めて。

「じゃあさ」

と、思い切ったような口ぶりでラナが言った。

「今度、一瀬高校との合同記録会。見に行かない?」

「一瀬高校、、」

一瀬は海晴の長年のライバル校だと聞いたことがある。

そして、そこにはリツが以前通っていた波雲SCの同じ学年の人がいるらしい。

つまり、リツとはライバル関係に値する。

リツの専門は、私と同じでバックの100メートル。

波雲SCの人の専門は何か分からないけど、一瀬だから他の人たちも実力は十分にあるはずだ。

「気分転換ってことでさ、カナちんの心につっかかりがあるなら、晴らしてあげたいしさ、ね!」

ラナの優しさにはやっぱり頭が上がらない。

「だね。若葉もいる事だし」

カイくんの事は別だよっ、とラナは真っ赤になりながら答えた。

2人は中学の頃から付き合ってて、もう3年くらい経つ。

このバカップルめ、と思いつつ、その日が少し楽しみになった。



それから、リツは何度か私に話しかけようとしていたけれど、私は怖くてリツのことを避けていた。

もし話し合って、私たちの関係が完全に崩れてしまったら、と考えると怖くてたまらなかった。

こんな状況でもまだ私はリツとの関係に依存しているらしかった。

心の中ではモヤモヤとした苦しい感情が渦巻いていた。



そんな中で迎えた、合同記録会。

ラナと朝から学校に行き、プールサイドの観覧席に陣取っていた。

合同記録会は海晴で行うので、海晴の人達が何人かいるのは普通だけど、なんと一瀬は女子が倍以上の数で応援に来ていた。

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