溢れる想いを青に込めて。

でも、その大半は波雲SCの人のファンなんだとか。

確か、名前が、、、

「 楠 侑李って人、相当かっこいいらしいよ。そんで、とてつもなく速い」

ちょうどいい所にラナが言葉を発した。

楠、君ね、、。その名前を心に留めていると、

「キャー!!」

という黄色い歓声とともに一瀬高校の水泳部員たちがプールサイドに現れた。

その中にとてつもなく顔の整った高身長がいた。

この人が、楠君だ。

と、直感してじっと見つめていると何故か楠君もこちらに目を向け、数秒見つめあってしまった。

その後すぐに目を逸らされてアップの準備を始めたので、疑問に思いながらもリツを探した。

リツは端のコースでバックを泳いでいた。

けれど、やっぱりその泳ぎはリツの泳ぎではなくて、苦しそうなリツに胸が締め付けられた。

「カナちん、大丈夫?」

顔色が悪い私を心配してラナが声をかけてくれた。

「うん。何か飲み物買ってくるね」

と言って、力なく立ち上がりプール横の自動販売機に向かう。

すると、反対側から人影が見えて、徐々に近づいてくる。

「久しぶり、叶波。」

と、声をかけてきたのはさっきまでプールサイドにいたはずの楠 侑李だった。

どうして私の名前を知っているのだろうと警戒心を強めていると、それに気づいたのか楠君はまた言葉を紡いだ。

「覚えてない?小学生の頃、叶波にバック教えてたじゃん。」

あっ、と声を上げる。

「もしかして、ゆうちゃん、?」






―小学生の頃の私の専門はブレだった。

< 7 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop