溢れる想いを青に込めて。
でも、その大半は波雲SCの人のファンなんだとか。
確か、名前が、、、
「 楠 侑李って人、相当かっこいいらしいよ。そんで、とてつもなく速い」
ちょうどいい所にラナが言葉を発した。
楠、君ね、、。その名前を心に留めていると、
「キャー!!」
という黄色い歓声とともに一瀬高校の水泳部員たちがプールサイドに現れた。
その中にとてつもなく顔の整った高身長がいた。
この人が、楠君だ。
と、直感してじっと見つめていると何故か楠君もこちらに目を向け、数秒見つめあってしまった。
その後すぐに目を逸らされてアップの準備を始めたので、疑問に思いながらもリツを探した。
リツは端のコースでバックを泳いでいた。
けれど、やっぱりその泳ぎはリツの泳ぎではなくて、苦しそうなリツに胸が締め付けられた。
「カナちん、大丈夫?」
顔色が悪い私を心配してラナが声をかけてくれた。
「うん。何か飲み物買ってくるね」
と言って、力なく立ち上がりプール横の自動販売機に向かう。
すると、反対側から人影が見えて、徐々に近づいてくる。
「久しぶり、叶波。」
と、声をかけてきたのはさっきまでプールサイドにいたはずの楠 侑李だった。
どうして私の名前を知っているのだろうと警戒心を強めていると、それに気づいたのか楠君はまた言葉を紡いだ。
「覚えてない?小学生の頃、叶波にバック教えてたじゃん。」
あっ、と声を上げる。
「もしかして、ゆうちゃん、?」
―小学生の頃の私の専門はブレだった。