溢れる想いを青に込めて。

と、口癖のように言っていた。

今も、その思いはあるのだろうか。

と思い出しつつ、ジュースを買って席に戻る。

「遅いよ!始まっちゃったよ」

と、ラナが言うので慌てて席についてプールを見る。

そこではちょうどバックの100メートルを測っている所だった。

リツが出ていると思って焦って探しているとリツは2組目らしく、体を動かしているところだった。

「次、だね。」

ラナが少し強ばった声で言った。

私が泳ぐわけじゃないのに緊張で手に汗をかいていた。

ピピーッと聞き覚えのある音が耳を通り、2組目の人達が飛び台に乗る。

さっきは気づかなかったけど、よく見るとリツの隣のレーンはゆうちゃんだった。

笛の音と共に一斉に水に飛び込む音が聞こえた。

自然とリツを見る。

その泳ぎにはいつものリツらしさがなくて見ているこっちも辛くなる。

なのに、何故か目を離すことが出来なかった。

苦しい。

そう、訴えているような泳ぎだった。

その隣のレーンのゆうちゃんは4年前と変わらない、いや、その時以上に正確で無駄がない綺麗なフォームで先頭を泳いでいた。

私がずっと憧れていたゆうちゃんの泳ぎ。

でも、その泳ぎは何故か今の私の心を苦しくした。

あっという間に100メートルを泳ぎきり、ゆうちゃん、リツの順番でゴールした。

とはいっても、ゆうちゃんとリツの差は3秒。

つい、あの時の私と重ねてしまう。


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