王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
百八十センチを超えた長身に、オーダーメイドの高級スーツを着こなす美しい体つき。
さらには女のコのハートを鷲掴みにする、優雅な微笑みに紳士的な態度。
男女ともその美しさに魂を抜かれるとか、美久ちゃんが言っていた。
でも、驚くのは容姿だけではない。
仕事においても様々な国で、多くのヒット商品を生み出してきた彼は、開発においても神様のような人だと言われている。
ここまでくれば女子社員の中では、崇められる位置づけになり、王子様と呼ばれている。
私からすれば、あんなにキラキラした人は、遠くから眺めるのも恐れ多くて気が引けるけど、開発においては死ぬほど尊敬をしている。
「じゃ、お先帰るね」
「お――。気をつけろよ。」
私は椅子にかけてあったカーディガンを手に取り、首にかけてある社員証を手にしながら更衣室へと急いだ。
毎月はじめ、私は定刻で仕事を終わらせて、日頃頑張る自分にご褒美を与える日としている。
だから今日は、その足で近くにある老舗の高級和菓子屋さんを訪れる予定であり、珍しく心が浮ついていた。