王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
そうして少しだけ沈黙が続き、心の内を逃がすようなため息が聞こえた後、握られていた手にキュッと優しく力が込められた。
「とりあえずコーヒーが冷めるから。後で話そう」
「⋯⋯はい」
ぎこちなく頷くと、笑顔と共に温もりがゆっくり離れていく。
触られていた手がとても熱くて、汗ばんでいて
口にしたケーキは、美味しいはずなのにドキドキしてそれどころではなかった。