王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
ディナーを終えると、社長は私を連れてひとつ上の階へと上がる。
そこには、完全会員制の高級バーがあった。
巨大なガラスのワインセラーがそびえるカウンタ―でバーテンダーと親しげに一言交わすと、そのまま社長は店の奥にある扉へ進む。
――ドアプレートには『VIPルーム』⋯⋯?!
「――おいで」
中央にある大きな赤いソファに腰掛けた漆鷲社長が、入口で立ち尽くす私を見て自分の隣をトントンと叩いて微笑む。
奥にある、備え付けのバーカウンターから漏れるワインセラーの光で、彫りの深い美しい顔立ちが怪しげに色づいていて、私の心臓が太鼓を打つ。
バックを抱きしめながらワンピースを揺らし、少し距離を置いて腰をおろす。