王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
漆鷲社長の助言があったことで、ふりかけの改善はスムーズ進み、現在は試食をしながら詳細を設定している段階だった。
先週のうちにだいたいの基盤が定まり、後は微調整するのみ。
今週になって仕事がようやく落ち着いてきて、ホッとしていた。
そんな今日は久しぶりに、社長室にいくことになっている。
会わない間作成した、プレゼンを見てもらおう。
「おっ! 試作の原材料、届いたんだな。」
いつの間にか戻ってきた園部が、箱を開封していた私の手元を覗きこむ。
「さっき、加藤部長から受け取った。」
「じゃぁ、午後からやろう。俺、先に籠もってるから、他のやつらにも伝といて」
「了解」
そこで、ちょうどチャイムが鳴り響き、昼休憩に差し掛かった。
短く返事を返した私は、デスクの上に広がっていた、分析データーや試食調査書を片付け、グループメンバーに声をかけてから、食堂へと向かうことにした。