王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
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そんな、昼休み始まって早々。オフィスビル共用スペースにある食堂でのこと。
「真島先輩、彼氏できましたね」
「ズズズ⋯⋯んぐ?!」
夢中でザルうどん定食をすすっていた私は、突然のご指摘に、危うく麺が鼻から出てきてしまいそうになった。
「⋯⋯ゴホンッ。美久ちゃん、いきなりどうしたの⋯⋯?」
ハンカチで眼鏡についたうどんの汁をぬぐって。
食べて早々、突拍子もないことを言い出した彼女を、努めて冷静に見る。
内心焦ってしまうのは何故だろう。
「最近ずっと思ってたんです⋯⋯。ハードワークなのに最近お肌ツルツルですよね。それに、とっても綺麗になったし。」
「⋯⋯いつもと変わらないよ」
「かわりますよぉ! 私なんてこんなボロボロなのに⋯⋯」
そう言いながら、お箸をおいて頬に手をあてた美久ちゃんは、悩ましげにため息をつく。
お肌と彼氏と、どう結びつくのかわからないし。
ていうか、美久ちゃん全然ボロボロじゃないし。
そこでなぜか、ぽわーんと漆鷲社長の顔が脳内に現れた。
いやいや、彼は関係ない!
ただ、勉強してるだけだし。