王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

「お礼はこれでいい――⋯⋯」


咄嗟の反応もできないまま、唇が重ねられた。


ちょ⋯⋯えぇぇ?!


社長は、押し返そうとした私の両手をいとも簡単にやり過ごし、しなやかな腕を背中を回すと、もう一方はうなじを掴んで、深く唇にぱっくりと食いついてきた。

やわやわ食みながら、角度が変えられて深く交わると、ワインの香りが流れ込んでくる。

ワンピース越しに逞しい身体が感じられ、また、私の身体も感じられていると思うと、羞恥に震えそうだった。


「力抜いて」


一度唇を離してそう呟くと、社長はうなじへにあった指先を編み込まれた髪の中に差し込み、また唇を奪う。


やだ⋯⋯なにこれ


ゾクゾクとした感触に耐えきれず、はっと口元を緩めると、唇を割って滑らかな舌が侵入してきた。


「――ぁっ」


熱い舌が触れた合った瞬間、感じたことのない快感が頭を貫き思わず甘い声が出た。


力がはいらない⋯⋯


ゆっくりと誘い出すように絡め取られ、なぞって追いかけて、唾液の混じり合う音が頭のなかに響く。
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