王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】

しばらく悩んだ末、いくつかの和菓子を購入した私は、腕時計を確認しながらバス停へと急いでいた。

さほど距離が離れていないところで、アパートを借りている私は、バスで通勤している。


すっかり選ぶのに時間かかっちゃった。

そろそろバスの時間になっちゃう。


再び腕時計を確認しながら、歩調を早めていると、ふと差し掛かったカーブミラー。

私の背後に人が写っていることに気付いた。
 
少し離れてはいるけど、明らかにこちらを見ていて、足取りが怪しい。

黒スーツに、黒いハット、マスク。

それだけで不審感を覚えたのに、夜なのにサングラスをかけているのを見て、焦りを隠せなかった。

眼鏡が落ちないように抑えて、一瞬振り返ると、男が足を止めてピクリと反応したような気がした。
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