王子様の寵愛は突然に―地味っ子眼鏡への求愛のしかた―【コミカライズ原作】
「ん? どうしたの」
社長は私からの視線に気づいてニッコリと見下ろす。
トクン、と揺れる胸。
これを聞くのは思い上がりだろうか⋯⋯。
そう思って今まで閉じ込めてきた言葉なのに、いつも笑顔で振り向いてくれる社長に、甘えたくなったのかもしれない。
私はずっとくすぶっていた疑問をぶつけた。
「⋯⋯なんで社長は⋯⋯私に構うんですか?」
広い空間にやけに響いた。
緊張して異様に鼓動が耳に響く。
手すりを掴む手が汗ばむ。
思い違いだって言われたらどうしよう
きらめくコバルトブルーの瞳を見つめたまま、ひたすら口が開くのを待っていた。
大した時間じゃないのに、切り出すまでの時間が永遠のようにも感じた。